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東京地方裁判所 昭和45年(ワ)6715号 判決 1972年9月27日

原告

林八重子外一名

右代理人

宮内重治外三名

被告

常総コンクリート株式会社

右代表者

岡根清蔵

右代理人

三善勝哉

主文

被告は原告林八重子に対し金三二二万七、四一五円および内金二九七万七、四一五円に対する昭和四六年一月一日以降、内金二五万円に対する本判決言渡日以降各支払い済みに至るまで年五分の割合による金員の、原告林淳一に対し金五一四万一、〇八七円および内金四七四万一、〇八七円に対する昭和四六年一月一日以降、内金四〇万円に対する本判決言渡日以降各支払い済みに至るまで年五分の割合による金員の各支払いをせよ。

原告らの被告に対するその余の各請求をいずれも棄却する。

訴訟費用はこれを一〇分し、その六を原告らの、その余を被告の、各負担とする。

この判決第一項はかりに執行することができる。

事実

第一  請求の趣旨

一  被告は原告林八重子に対し金八五九万五、〇〇〇円および内金八〇九万五、〇〇〇円に対する昭和四六年一月一日以降、内金五〇万円に対する本判決言渡日以降各完済迄年五分の割合による金員の、原告林淳一に対し金九七九万円および内金九一九万円に対する昭和四六年一月一日以降、内金六〇万円に対する本判決言渡日以降各完済迄年五分の割合による金員の各支払いをせよ。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決および仮執行の宣言を求める。

第二  請求の趣旨に対する答弁

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決を求める。

第三  請求の原因

一  (事故の発生)

訴外亡林輝良(以下亡輝良という)は、次の交通事故によつて発死亡した。

(一)発生時 昭和四四年一一月一一日午後二時二〇分頃

(二)発生地 千葉県八日市場市上谷中二一七七番地

(三)被告車 大型タンクローリー車(千葉八に三五九号)

運転者 訴外大熊明

(四)原告車 普通乗用自動車(横浜五ほ一一九六号)

運転者 訴外須貝治邦

被害者 訴外亡輝良(原告車に同乗中)

(五)態様 被告車が道路センター・ラインを越えて進行し、対向車である原告車に衝突したもの。

(六)被害者である訴外亡輝良は即死した。

二  (責任原因)

被告は、被告車を所有し、これを自己のために運行の用に供していたものであるから、自賠法三条により、本件事故に関し損害賠償責任を負う。

三  (損害)

(一)  うべかりし利益

金一、八二八万七、〇〇〇円

亡輝良は昭和一五年二月二八日生の男子であつたが、事故当時訴外京浜商事株式会社に勤務し、東京営業所次長の職にあり、別表第一に示すような給与をえていた。そして右訴外会社における昭和四五年度の年間賃金体系は別表第二に示すとおりのものであつた。これらを綜合すると、亡輝良は本件事故なくば、少なくとも別表第三の年収欄に示す金員を毎年次得ていたものといえる。これより各年の生活費を控除し、年別ホフマン法で、現在価額を算出すると、その額は金一、八二八万七、〇〇〇円となるのである。

ところで、原告淳一は亡輝良の子であり、原告八重子は亡輝良の配偶者である。従つて、原告淳一はその三分の二に当る金一、二一九万円、原告八重子は三分の一に当る金六〇九万五、〇〇〇円(いずれも一、〇〇〇円未満は切捨て)相当の損害賠償請求権を相続によつて取得したことになる。

(二)  慰藉料 金四〇〇万円

本件事故によつて、その父を、夫を奪われた原告らの精神的損害は甚大であつて、その損害を慰藉するには原告ら各人あて各金二〇〇万円をもつてするのが相当である。

(三)  損害の填補

原告淳一は、本件事故に関し、本訴提起前、自賠責保険金五〇〇万円を、その損害金内金として受領した。

(四)  弁護士費用 金一一〇万円

右のとおり原告らは被告に対し本件事故につき損害賠償を求めうるところ、被告は原告らの請求に対し、その任意の弁済に応じないので、原告らは弁護士である本件原告訴訟代理人らにその取立を委任し、これに伴ない原告淳一は金六〇万円の、原告八重子は金五〇万円の出捐を、余儀なくされるに至つた。右も本件事故と相当因果関係ある損害である。

四  (結論)

以上のとおりである。よつて原告淳一は金九七九万円およびこれより弁護士費用相当分を除いた金九一九万円に対しては昭和四六年一月一日以降、弁護士費用相当分金六〇万円に対しては本判決言渡日以降各完済迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の、原告八重子は金八五九万五、〇〇〇円およびこれより弁護士費用相当分を除いた金八〇九万五、〇〇〇円に対しては昭和四六年一月一日以降、弁護士費用相当分金五〇万円に対しては本判決言渡日以降各完済迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の、各支払を求めて本訴に及ぶ。

第四  被告の事実主張

一  (請求原因に対する認否)

第一項は認める。

第二項のうち、被告会社が被告車を所有していることは認めるが、その余の事実は否認する。

第三項のうち、本件事故について、本訴提起前既に自賠責保険金五〇〇万円が支払われていることは認めるが、右は原告両名の債権額に按分し、充当さるべきものである。その余の事実は不知。

第四項争う。

二  (主張)

(一)  事故態様についての主張

本件事故は、被告車が、その前方で発生した貨物自動車と自転車の接触事故発生により生じた交通の危険を避けようとして、右にハンドルを切つてセンター・ラインを越えたところに、原告車が対向して来て衝突したものである。現場はかなり見透しのよいところであつた。従つて原告車を運転する訴外須貝が前方注視につとめ、法定速度を遵守していたならば、第一の接触事故に迅速に気付き、減速等の措置により本件事故を避けえたところであつた。しかるに訴外須貝は前方注視を怠たり高速度で進行し続けたため本件事故が発生するに至つたもので、同人には本件事故発生に関し、これに寄与する過失を犯した咎がある。

(二)  弁済の抗弁

原告らは自賠責保険金五〇〇万円のほか、なお本件事故に関し金八、五八〇円の金員を受領しているから、保険金同様右金員も本件損害金に充当さるべきである。

第五  被告の主張に対する原告の反駁いずれも争う。

第六  証拠<略>

理由

一(責任の帰属)

原告主張請求の原因第一項の事実は当事者間に争いない。

しかし、被告は本件事故は、原告車を運転中の訴外須貝に過失があつたことに基づく旨主張し、その趣旨必ずしも明確でないが、免責あるいは過失相殺の抗弁ともみられる主張をなすので、まず本件事故につき被告車運転手の過失の有無について検討する。

<証拠>、弁論の全趣旨によると、次のような事実が認められる。

本件事故発生現場は、三差路交差点西はずれにあり、右交差点は、千葉県八日市場市より同県銚子市に通じる国道第一二六号線と、これに南方よりきて接続する県道八日市場・井戸野・旭線とで形成されている。右国道は、その全幅員は広いところで約7.35メートル、狭小なところで約6.30メートルとなつているが、道路両側に外側線が引かれ、自動車の通行は約六メートル幅の道路部分に限局されており、県道の幅員は数値的には明確でないが、国道の路側帯を除いた部分よりも一見して約半分多くとも三分の二程度となつている。

訴外大熊は被告車を運転して、国道を西進し、本件事故現場へその少し前より訴外渡辺泰輔の運転する普通貨物自動車(千一な五八九五号)に約二〇メートルの間隔で追随し左側車線を保持進行して差掛つたのであるが、前方に対する注意をおろそかにしていたため、折柄右渡辺運転車において、その前方を同方向に進行する訴外大矢辰一乗用の二輪自転車がその積荷の関係上道路のかなりの部分を占めて走行しているのと、原告車が対向してくる事情から、自車線内には自車の車幅に充分な余地は残らず、対向車線に進入することもできず、従つて直ちに右自転車を追越しあるいは追抜くことには危険が存することを認識して、減速措置をとつたことを迅速に認めることができず、右渡辺車を前方一〇メートル弱にみる地点でようやくこれに気付き、狼狽しつつ、急停車の措置をとつたものの、被告車の自重と、その寸前の法定速度を上廻る六〇キロメートル毎時はあつた速度とから、容易に停車するに至らず追突の危険が生じ、訴外大熊においても、渡辺車との相互距離が約4.45メートルとなつた段階でこれを悟り、窮した挙句、対向車線の交通事情を確認することもなくハンドルを右に切つて対向車線に進み、追突を避けようとしたのである。しかし、まさにその時点は、原告車が対向車線を進行してきて、渡辺車とすれちがおうとしていた瞬間であつたため、その直前に被告車の前部が突然進出する状況となり、原被告車はそのまま各前部右側を、そして、ほぼ同時に左側車線に残つた被告車前部左側と渡辺車後部右側とが、それぞれ衝突するに至つたのである。

他方訴外須貝は、勤務先である訴外京浜商事株式会社の上司というだけの間柄である亡輝良を助手席に同乗させ、原告車を運転して、前記国道を東進し、本件事故現場に時速約四〇キロメートルで接近してきたのであるが、その際前方対向車線を渡辺車が、そしてその後を被告車が進行してくるのは認められたものの、両車とも自己車線を保持し、方向指示器等による進路変更の合図などなんらなしていなかつたので、いずれもそのまま左側車線を保持進行するものと信頼して、そのまま自身も左側通行を遵守進行して渡辺車とすれちがい始め、まさにこれを終了せんとした瞬間、なんら警告措置なく、前方四メートル程度の地点に前記のとおり被告車がセンター・ラインを越え進出してきたため、反射的に制動処置はとつたものの、とうてい衝突を回避することはできず、本件事故に至る始末となつている(右のうち、本件事故が訴外大熊運転の被告車において道路センター・ラインを越えて進行し、訴外須貝運転の原告車に衝突したものであること、は当事者間に争いない)。

以上のような事実が認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。

右認定事実によると、訴外大熊は本件事故直前、自動車運転手として遵守すべきものである、自車進路前方を注視し、進行の障害となりうべきものの迅速な発見につとめ、衝突等の危険の発生を未然に防止する適切な運動方法をとりかつ法定の速度を守り、前車との適正な車間距離を保持しつつ進行すべき注意義務を怠つており、このため、先行車の減速措置に気付くのが遅れ、それに気付くも法定速度を上廻つて進行し、しかも本来まだ適正とはいえない約二〇メートルという車間距離をさらに短縮した状態に立至つていたことから、先行車に追突の危険が生じ、これを回避する措置として、その安全を確認する暇なく、対向車線に進出し、原告の直前に現われ衝突に至つているのであるから、本件事故の原因たる過失を犯していること明らかである。

そうすると、原告主張のとおり、被告車の所有者であることを争わず、そして、被告車についてその運行の支配と利益を失つている事由をなんら主張立証しない被告は、本件事故につき、運行供用者として、免責のその余の要件をも主張しないうえ、運転者に右のとおり過失ある以上、もはや免責の余地なく、損害賠償責任を負わなくてはならない。

他方訴外須貝は、右認定のとおり、亡輝良とは職場における上司と部下の関係にすぎず、本件全証拠によるも、経済的単位体を構成する者あるいはこれと同視すべき親族関係をもつ者達とは認め難いので、右訴外人の過失をもつて被害者側の過失とすることはできないうえ、右認定事実によると、訴外須貝が、対向車として被告車と渡辺車の通行してくるのを認めたのは、両車とも道路左側自己車線を進行中のことであり、自動車運転手としては、対向車が突然合図もなく、進路を変え反対車線に進入してくること迄予測して運転すべきものと迄要求されることなく、右両車の前方に障害となりうる自転車が存したとしても、それは、自車線で徐行ないし停止し、対向車がない段階で始めて、追越し等をはかる運転方法をとるものと信頼して落度はないといえるから、対向の両車を認めても、とくにこの自車線への進出を慮る処置をとる必要なく、交差点の各幅員状況などからすると、事故現場付近でとくに徐行措置をとらなかつたことにもなんら過失はなく、そして、直前約四メートルの地点に突然被告車に進出されては、原告車に衝突回避の処置を求めることは、もとより無理であるから、訴外須貝にこの点を咎めることは許されず、そのほか同人に本件事故発生について過失を求める事由も認められない、といえるので、いずれにしても、被告の事故態様についての主張によつて、本訴においてその賠償額を一部なりとも消滅させることはできないことになる。

二(損害)

(一)  うべかりし利益

<証拠>(第一は証人米山信一の証言により真正に成立したものと認め、第三については同証言によつてその原本が存在してはいたものの、原告らの手にしえず、その写として真正に成立しているものであることが認められ、その余は成立について争いない)、<証拠>証人米山信一の証言、弁論の全趣旨によると、亡輝良は、昭和一五年二月二八日生の健康な男性で、高校卒業後訴外京浜商事株式会社に入社し、爾来約一一年の間勤務を続け、本件事故時東京営業所次長の地位にあり、ガソリン・重油の販売をその担当業務とし、死亡前年の昭和四三年度給与総額は金六九万九、一九六円であり、昭和四三年一月一日より同年一一月一一日迄のそれは金六六万六、〇五〇円であつたこと、右訴外会社の賃金体系は労働協約などによつて明確に定まつてはおらず、毎年四月取締役会を開いて賃金の大綱を定めており、逐年増額をみているものの、それはいわゆるベース・アップ分もかなり含まれていること、とはいうものの、年功に応じ、経験の増すに従い昇給する部分もあり、右上昇率は高等学校卒業後二五才に達する迄の間が最も高く毎年一五ないし二〇%を示すが、その後は年間五ないし一〇%程度となること、亡輝良は訴外会社において、管理職の地位にあり、勤続二年に亘つてはいたが、とくに会社において経営的立場にあつたわけではなく、またかような人々と縁故関係をもつものでもなく、通例のサラリーマン的な階層に属する者であつたこと、亡輝良は妻である原告八重子と昭和四二年一一月婚姻し、本件事故後三日前に長男である原告淳一が出生していること、以上のような事実が認められ、右認定に一見反するかにみえる<証拠>の各一部は、前掲証拠とくに証人米山信一の証言と対比すると、これと齟齬するものとはいえないことが判明するし、その他右認定を覆えすに足りる証拠はない。

右認定事実によると、亡輝良は、本件事故によつて、今後なお三一年間石油販売の業務を遂行し続けえた労働能力を本件事故のため喪失したことになると判断できるのであるが、その能力評価は、事故なくば、取得したと予測しうる現実現象の給与そのものにもとづきなすよりも、法は当為の次元で対象をとらえ、本来保護すべき、あるべき権利を保障するものであることを考えると、いわゆる年功序列的な不合理な賃金体系を正し、被害者がその時点で本来有する労働能力を正当に評価した価額にもとづきなすべきであるところ、亡輝良の年令よりすると、なお将来経験の増加による高能力化は一応考えられるものの、それと、高令化による活動能力の低下とが相殺され、結局労働能力としての本来的価値は今後は一定なものと考えられ、他方事故時の現実給与は、年功序列賃金体系下、本来のそれよりも低額化されており、これがその後の五ないし一〇%の定期昇給で是正されていくものとみうるので、昭和四三年度の給与額の五%増額と昭和四四年度の一一月一一日迄分の比例按分より算出した給与額の高い方の額である金七七万一、七七二円(円未満五〇銭以上切上方式・以下同じ)を少なくとも本件事故時年間収入として挙げえた亡輝良の労働能力は、公知の事実である昭和四四年賃金センサス中の男子二五才ないし二九才労働者の年収金一〇三万〇、五〇〇円と比較すると0.74893(小数点六位で四捨五入)という数値となるので、同センサス三〇才より五九才迄というほぼ男子労働者としては稼働を中断することのない故に人員分布は無視しうる階層の年収算術平均値金一二四万四、三〇〇円(一〇〇円の次位で四捨五入)の0.74893倍である金九三万一、八九四円をもつて評価すべきものと考えられる。そして前認定亡輝良の家庭環境よりすると、同人は右収入より四〇%に当る公租公課を含む生活費を負担しつつ、稼働し続けたものと考えられるので、亡輝良の事故により喪失した労働能力の価額は次のとおり金八七一万八、五〇二円(円未満五〇銭以上切上げ方式・以下同じ)となる。

九三万一、八九四円×0.6×15.5928(三一年ライプニツツ係数)=金八七一万八、五〇二円

原告八重子は亡輝良の生存配偶者で、同淳一は子であり、右両名が亡輝良の相続人の全てであることは前認定のとおりである。そうすると、原告八重子は右のうち三分の一に当る金二九〇万六、一六七円を、原告淳一は三分の二に当る金五八一万二、三三五円を損害賠償しうる地位に立つことになる。

(二)  慰藉料

前認定事故態様、原告らの家庭状況その他本件諸事情を綜合すると、本件事故によつて原告らの蒙つた精神的損害は各金二〇〇万円ずつをもつて慰藉するのが相当と評定できる。

(三)  損害の填補

本件事故に関し、本訴提起前既に自賠責保険金五〇〇万円の支払がなされていることは当事者間に争いない。原告らは右保険金はすべて原告淳一の損害に充当された旨主張し、被告はこれを争うのであるが、甲第七および第九号証(前掲)と弁論の全趣旨によると、右保険金は、原告らの有する遅延損害金以外の損害金に、その債権額に按分して充当される意思で、当事者間において授受されていることが認められ、右認定に反する証拠はない。従つて、右保険金のうち金一九二万八、七五二円は原告八重子の、金三〇七万一、二四八円は原告淳一の各遅延損害金以外の損害に充当されることになる。被告は右のほか金八、五八〇円の支払をなした旨主張するが、本件全証拠によるも、これは認めるに足りない。

(四)  弁護士費用

以上のとおりで、原告八重子は金二九万七、四一五円、原告淳一は金四七四万一、〇八七円、およびこれらに対する遅延損害金の支払を求めうるところ、甲第七および第九号証(前掲)弁論の全趣旨によると、被告は原告らに右損害金を任意弁済せず、やむなく原告らは原告訴訟代理人らにその取立を委任し、それに伴ない手数料および報酬として、原告八重子は金五〇万円、同淳一は金六〇万円の金員を本判決言渡日支払う旨約定したことが認められ、右認定に反する証拠はない。しかし本件事案、審理経過、認容額そして右報酬等の支払期日に照らすと、右のうち被告に負担を求めうる弁護士費用相当分は、原告八重子については金二五万円、原告淳一については金四〇万円の限度で相当であつて、これをこえる部分迄被告に負担を求めることはできない。

三(結論)

そうすると、本訴請求のうち、原告八重子は金三二二万七、四一五円およびこれより弁護士費用分を控除した金二九七万七、四一五円に対する本件事故より後の日である昭和四六年一月一日以降、弁護士費用分金二五万円に対する同じく事故後の日である本判決言渡日以降、各完済迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の、原告淳一は金五一四万一、〇八七円および同じく弁護士費用分控除後の金四七四万一、〇八七円に対する昭和四六年一月一日以降、弁護士費用分金四〇万円に対する本判決言渡日以降、各完済迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の、支払を求めうることになる。本訴各請求は右の限度で理由があるので、この限度で認容し、その余はいずれも理由なく失当であるのでこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法第八九条、第九二条本文、第九三条一項本文を、仮執行の宣言について同法第一九六条を、各適用し、主文のとおり判決する。 (谷川克)

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